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- パウク級についての技術設定
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- オストワルド機構軍で一時代を築いた総トン数わずか2,200トンのコルベッ
- ト艦「パウク」級は、パワープラントとして対消滅炉、推力子として重力制御を採
- 用する最初の艦艇でもあった。この形式は推進材が必要なく、推力の小刻みな変化
- も容易なために注目されていたが、長期間運用時のシステムの信頼性に疑問符がつ
- けられていた。このため、パウクは実験艦に近い性格も持っていた。
- 第一次太陽系戦争前夜、オストワルド機構軍はビスマルク級を初めとする大気圏
- 侵攻艦艇の整備を行っていた。この最前縁での哨戒艦艇として設計されたのがパウ
- ク級である。設計は一月以上の宇宙空間及び大気圏内での行動能力をもつことを前
- 提として、安価で緊急時に大量建造が可能なことを最優先とした。
- よって特に初期型は、推力システム以外は面白味のないものになってしまってい
- る。ごく単純なセミモノコック構造をブロック建造形式(基本的には3ブロックだ
- が、もっと細ブロックでの建造も可能)で組み上げ、主砲としてレーザー両用砲を
- 1門装備。これは水上船舶における前部主砲といったもので、射角は非常に制限さ
- れ、複数目標との戦闘を考慮していないのがわかる。武装は他にVLS(垂直発射
- 管)を初期型で6門(次発装填装置付)持つが、補給時以外は装備変更は不可能で
- ある。基本的に3門を対艦、2門を対空、残りを熱煙幕欺瞞弾として装備しておく
- ことが多い。
- 装備の数はともかく選択肢が少ないのは問題で、後期型は舷側に多目的ランチャー
- のハードポイントが用意されたが、空力的事情で大気圏内での使用はできない。
- センサはごく標準的なものだが、レーダー、赤外線センサ等の他に艦下部に小型
- のペンシルビーム型の高周波アクティブソナーを持つ。パッシブソナーとしての能
- 力は低い。主砲はレーザーレーダーとしての機能も持ち、遠距離通信もこれで行う
- が、これは戦闘中のリアルタイム通信が不可能なことを意味するので、別にレーザ
- ーデジグネータを装備した艦艇もある(装備方法は多様)。
- 乗員はI型及びII型で9名、III型以降は主機の信頼性が上がったため、機関員を
- 2名減らして7名となった。
- 艦の性格とレイアウト上推力軸が重心軸と一致しないため、宇宙空間ではモーメ
- ントを殺しつづける必要があるが、重力制御艦艇のために大きな問題とはならなか
- ったようだ。艦艇は第9、第10の月面駐留艦隊に主に配備され、後には大気圏侵
- 攻だけでなく、宇宙空間での哨戒、船団護衛にも重宝されるようになったが、雑種
- の出自が嫌われたのか、木星艦隊ではほとんど使用されなかった。
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- 艦種
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- パウクI:初期量産艦艇。実験艦の増加試作に近く、わずかな数に留まり、全艦が
- パウク2に改修された。
- パウクII:初期の主力艦艇。パウク1の欠点等を改良したタイプ。パウク1改修型
- とパウク2として建造されたものがあるが、同等に扱われる。
- パウクIII:全面改修を施したタイプ。装甲が積層装甲からダイヤモンド・セラミ
- ックス傾斜機能装甲となり、VLSが8門に増設された(このために上
- 部構造が延長されている)。主砲も出力増加型に換装され、砲架が固定
- になり反応速度が向上した。さらに既述の通り、主機の性能向上ととも
- に乗員数が減ったが、負担はむしろ減少している。
- パウクIV:パウク3に準じるが、装甲改良による出力向上が思わしくなかったため、
- 従来装甲をそのまま使用した簡易型。パウクIIからの改修型もこれに含
- む。
- パウクV:最終アップデート型。次発装填装置が改良され多数のつるべ撃ちや弾種
- の交換ができるようになったため、VLS自体は4基に減少。レーザー
- 出力はさらに向上し、カバー形状が洗練された。装甲材質は積層装甲だ
- が、パウクIII型の改修艦は傾斜機能装甲のままである。
- パウクVI:電子戦闘タイプ。F-32A戦闘機2機を指揮して最小の航空単位とす
- るための型。全艦が以前からの改修型である。
- パウクVII型が存在するという情報もあるが、詳細不明。